見込客の背中を押すコンテンツ

 

最後に用意すべきは、見込客の背中を押すコンテンツです。高価な買い物には、本当にこれに決めて良いのかという不安がつきまとうものです。その不安を打ち消すような、今買うべき理由を添えてあげることも重要になります。

このように段階的にコンテンツを用意すれば、買ってもらえる確率が大きくなります。また、もし入学式用ビデオカメラキャンペーンページだけを用意していたとしたら、スマホで撮影しようとしている見込客を捕まえることはできなかったでしょう。潜在的なビデオカメラの見込み客を逃していたことになります。

商品が高機能、複雑化するに従い、消費者が自分にとって本当に必要な商品を知り、選ぶことが難しくなっています。相手の興味に合わせて段階的に語るということがますます重要になってきます。それを実現する一つの手法が、コンテンツマーケティングです。

 

 

段階的に購買に結びつけるという考え方

 


段階的に購買に結びつけるという考え方

適切なコンテンツで企業と生活者をつなぐという考え方とともに、コンテンツマーケティングを理解する上で重要なのが、段階的に購買に結びつけるという考え方です。

あなたが家電のECサイトを運営していて、「入学式の上手な撮影方法」というコンテンツで、ビデオカメラで撮る方法、スマホで撮る方法などを紹介したとします。しかし、このコンテンツだけで止めてしまっては、単なる「ありがとうコンテンツ」になってしまいます。購買に結びつく確率は低いでしょう。

例えば、見込客がスマホで入学式を撮影する方法を探していたとしましょう。あなたのコンテンツを見つけ、スマホできれいに撮影しようとすると、実はスタビライザーや充電用バッテリーなど意外に装備がかさばったり、指では自然なズーム撮影ができなかったりすることに気づき、結局ビデオカメラで撮った方が目的に合った映像が残せると気づき、ビデオカメラが適切であると判断したとしましょう。

次に用意すべきはビデオカメラにはどんな種類があるのかという情報です。4Kなのか、高倍率なのか、大きさなのかという、目的にあった商品の選び方を提示する必要があります。あるいは、メーカー別の特長をまとめたコンテンツも効くかもしれません。

 

情報の送り方そのものを変えたコンテンツマーケティング

 


情報の送り方そのものを変えたコンテンツマーケティング

パーミッションマーケティングの考え方を更に発展させ、生活者の情報収集活動を支援しようとして生まれたのがコンテンツマーケティングです。生活者は、必要な時に必要な情報を探しにくるのではないか。であるならば、無理に情報を押しつけるのではなく、生活者の探している情報にマッチしたコンテンツ(適切なコンテンツ)を用意する方が自然ではないか。以上のような発想から、コンテンツマーケティングという考え方が生まれました。

コンテンツマーケティングにおいては、一方的にメッセージを投げかけるのではなく、「企業が伝えたいこと」と「生活者が知りたいこと」のギャップを「適切なコンテンツ」で埋め、まず両者の関係性を構築することでコミュニケーションを成立させます。

Googleを始めとする検索エンジンがコンテンツの質を重視するようになり、生活者が自分に必要なコンテンツを探しやすくなったという追い風もあり、コンテンツマーケティングが脚光をあびるようになってきました。

従来の広告は、企業が伝えたいことを一方的に生活者に届けるスタイルであった。一方コンテンツマーケティングは、生活者が知りたいと思ったときに、それに答える適切なコンテンツを用意することで出会いのきっかけを作り、まず両者の関係性を構築することを目的とする。

 

 

コンテンツマーケティング(1) 情報の届け方の大変革

 

【コンテンツマーケティング(1) 情報の届け方の大変革】

マーケティングコミュニケーションの歴史

コンテンツマーケティングについて説明する前に、マーケティングコミュニケーションの歴史を簡単におさらいしましょう。マス、ターゲット、ワンツーワン、パーミッションという4つの大きな変遷があります。

最初のマス・マーケティングですが、マス(大衆)に対してメッセージを伝達する手法です。モノを作れば売れる時代がありました。この時代には、市場全体を対象にコミュニケーションを図る手法が効果的でした。

市場が成熟し、ある程度モノが満たされると、消費者の嗜好が細分化していきました。そこで登場したのがターゲット・マーケティングです。これは市場全体ではなく、市場を細分化(セグメンテーション)し、その中から対象を絞ってコミュニケーションを図る手法です。

次に登場したのがワンツーワン・マーケティングです。これはセグメンテーションを更に推し進めて、顧客を個客と考え、一対一でコミュニケーションを図ろうとする考え方です。

ここまでは、メッセージを送る相手がより細分化されただけで、メッセージを一方的に送りつけるという発想そのものには変化がありませんでした。これに対して、生活者の時間に無理矢理割り込むというコミュニケーション手法そのものに異議を唱え登場したのが、パーミッションマーケティングです。情報を送る前に、生活者にパーミッション(許可)を取るという考え方です。